グロースハックの手前のフェーズ、PSFとPMF
こんにちは、ひよこです。
つい先日、「このサービスをグロース出来ない?」という話を頂いて、結論、「うーん、難しいです」という返答をしました。
そのときにお話をくれた方にPSFとPMFの話をしたので、ここにもまとめておきます。
グロースハックはPMFしてから実施すべき
プロダクトを成長させる手法としてグロースハックというのがありますが、グロースハックという言葉をつくったSean Ellisさんの定義では、グロースハックはPMF(プロダクト・マーケット・フィット)の後で実施する活動です。
プロダクトをグロースする手前には、おおまかに次のフェーズを踏んでいます。
それぞれのフェーズを解説
では、それぞれのフェーズを簡単に解説します。
良質なISSUEの発見
ここが本当に大事だと思うのですが、そもそも作るべきプロダクトが解決する課題が良質でなければ、どれだけ素晴らしいプロダクトになってもスケールしません。
ここは半分個人的な意見ですが、良質なISSUEというのは
- 顕在的/潜在的に誰かが困っている
- 解決が可能な問題である
- 解決することで経済的なリターンが得られる
この3つが揃っているISSUEのことです。
ちなみに、良質なISSUEの立て方には「イシューからはじめよ」という本がとても参考になるので、ぜひ読んでみてください。
イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 安宅和人
PSF(Probrem Solution Fit)
正しいISSUEが定まったら、次はISSUE(PMFでいうところのProbrem)に対する、適切な解決策を検討します。
一つの問題には複数の解決策があるので、どの解決方法が最も適切なのか?を探るわけです。
ちょっと有名な話では、"宇宙ではボールペンが使えない"というProbremにたいしてアメリカとロシアがとったSolutionが良い例になります。
宇宙でボールペンが使えないと、文字が書けないので記録やコミュニケーションが難しくなってしまいます。
そこでアメリカは、数百万ドルを投資して、無重力状態でも書けるボールペンを開発したそうです。
一方、ロシアは鉛筆を使いました。
Solution一つで、かけたコストが膨大に変わることは想像がつくと思います(笑)
このたとえ話の場合はコストに大きな差がつきましたが、ユーザー体験に差がついたり、スケールできる規模に差がついたりするのでPSFも慎重に行いたいところです。
PMF (Product Market Fit)
PSFが完了したら、PMFを目指します。
解決すべき課題とその解決策を、適切なマーケットに対して当ててみるわけです。
PMFの明確な基準は打ち立てるのが難しいのですが、PMFを達成したプロダクトは、事後的にPMFを達成したことがなんとなくわかるそうです。
PMFが成功すると、プロダクトがある程度勝手に伸びていくようになります。
↑これがPMFを達成した状態、という意見もあります。田所さんのツイートなので十分参考にしてよいかと。PMF達成の基準を書き出してみた
— Masa Tadokoro / 田所雅之 (@TadokoroMasa) 2019年3月30日
・ユーザーの50%以上が、プロダクトがなくなると「非常に残念」「残念」とアンケートで答える
・プレスリリース出さずともメディアからの取材依頼が複数来る
・自発的にユーザー会やプロダクト勉強会が立ち上がる
・Twitter検索で賞賛の声が広がる
価値の最大化
PMFを達成したらやっと、グロースの出番です。
正直、PMFを達成していないプロダクトであってもDAUやインストール数などのKPIを伸ばすことは可能といえば可能なのですが、そもそも解決すべきでないISSUEを解消しようとしていたり、その解決策がイケてないと必ずどこかでひずみが生まれます。
そうならないためにも、グロースの手前のフェーズはしっかり時間をかけておこなってください。
某スタートアップでは、PMF達成まで社員は社長一人、あとは外注という布陣で事業を推進し、6ヶ月経ったところでPMF達成と判断、人を一気に雇ってスケールを目指しているそうです。
これくらいの慎重さがあっても全然よいとおもいます。
急がばまわれの精神で、あなたのプロダクトが着実に成功しますように!
LPOを効率よく回す改善サイクル
こんにちは、ひよこです。
先日某社でLP〜決済完了までのCVR改善を依頼いただいいて、久々LPOに取り組むことになりました。
長らくLPOをやっていなかったので、この機会に過去やってうまくいったパターンを整理してみました。
はじめてLPOをする方の参考になれば幸いです。
LPOは準備が9割
LPOと言われると、「常に改善サイクルを回して・・・」「分析・改善案出し・実装・計測を繰り返して・・・」といったLPOの運用面のコツややり方を聞かれることが多い印象ですが、私はLPOは準備が9割だな〜と思います。
よく見る光景として、「数を打ってなんぼ」「とにかくやってみよう」という一見前向きな言葉が、深く考えないことに対する言い訳になっていることがあります。
LPOに限らずですが、最も時間もリソースも無駄になるのは、成果が上がらない施策を実施することです。
1週間かけて企画と実装を行って、1週間計測してたら2週間も進捗がなかったってことですからね😭
なのでしっかり時間をとって考えて、そのための準備も手を抜かずにやりましょう。
LPOのサイクル
この記事の主題は準備ですが、まずはじめに、準備が終わった後の改善サイクルについて記載します。
この改善サイクルの前段として、準備があるとおもってください。
LPOのサイクルは、下記の通り進めます。
このサイクルの細かい説明は別の記事で書くので、この記事では、上記のサイクルを回すための下準備についての記事ですが、これから記載する下準備あっての、改善サイクルがあることを忘れないでください。
APDMサイクルを回すための下準備
今回は、まだないLPを作るところからではなく、すでに一度作成が完了しているLPの改善を想定します。
下準備では、
- KPIツリーの作成
- ファネルの作成と数値の確認
- ヒートマップツールの導入と分析
を行います。
KPIツリーの作成
最終的に向上させたい数字(KGI)を決め、それに紐づくKPIを定義します。
大体の場合、KGIは粗利の最大化になり、その直下のKPIとしてCPAの削減とCV数の向上が来ると思います。
そのさらに下のKPIとしては、LPの構成に応じて
- LPのUU数
- フォームの入力数(フォームが長い場合はどの入力枠まで入れたのかも追いたい)
- 確認画面への遷移数
- 確認完了数 などが来ると思います。
ファネルの作成と数値の確認
KPIツリーができたら、それをもとにファネルを作成します。
ファネルは、KPIの項目をユーザーがたどるフロー順に並べれば完成です。
また、運用に入ってからちょっと気をつけておきたいこととして、改善案を出す際はファネルに縛られないのが結構大事です。
ユーザーフローが変われば、ファネルは変化します。
例えば、
LP→入力フォーム画面→入力内容確認画面→完了画面
という画面構成だったものが、
入力フォームをLPの下部に記載する構成に変えたら、ユーザーフローは変わりますよね。
LPOの全体像を把握するためにファネルを見るのはとても重要ですが、ファネルにとらわれてしまって"ファネルそのものを変える"という手段を見落とさないように注意してください。
ヒートマップツールの分析と導入
ヒートマップツールとは、例えばMIERUKAやPtengineといったツールです。
ヒートマップツールをつかうことで、
- ユーザーがどこまでページをスクロールしたか
- ユーザーが興味を持っているところはどこか
- ユーザーがよくクリックするのはどこか(ボタン以外をクリックしていないか?) ということがわかるようになります。
LPOの最初の改善は、このヒートマップツールでの発見から改善を始めると非常にスムーズですので、ぜひやってみてください。
まとめ
LPOを開始する前は、急がば回れで、まずは上記の下準備をしっかりやると施策がうまく回りだします。 ヒートマップツールは特におすすめです!最初の2週間は無料で使えるものもあったりするので、ぜひつかってみてください。
UX戦略の基礎・HCD(人間中心設計)のプロセス
データが無い状態(特に0→1)でプロダクト改善の重要な足がかりになるUX戦略。 この記事ではUX戦略の基本になる人間中心設計プロセスについてまとめました。
人間中心設計プロセスとは
人間中心設計プロセスはISO 9241-210に規定されているプロセスで、 設計プロセスを管理する人たちのために作られた手法であり、インタラクティブなハードウェアとソフトウェアの両方のコンポーネントを、より使いやすくする方法を記載しています。
各プロセスの詳細
この記事では、下記に用意した図表に沿ってプロセスを解説します。
人間中心設計プロセスでは、2.利用状況の把握と明示〜から5.要求事項に対する設計の評価までをPDCAサイクルとして繰り返します。 途中のプロセスで駄目な箇所があったら修正して、最終的な 6.量産・運用に耐えうるプロダクトを作ろう、という考え方です。
1.人間中心設計プロセスの計画
具体的にはプロジェクトの目標を考慮して、HCDサイクルを開発プロセスのどの段階に、どのように導入するのかを計画します。 人間中心設計は一連の”プロセス”なので、事業の推進や運用の中にどのように組み込むのかを考えます。 プロジェクトマネジメントをするときに事前にスコープを決めたりゴールを決めたりするのと似てますね。 引用元:HCDのヒント
2.利用状況の把握と明示
ここでは様々な調査やインタビューにより、利用者の行動とその背景や要因を理解することが重要となります。
引用元:HCDのヒント
知り合いのUXデザイナーさん曰く、ユーザーの”体験談”を集めるのがこのフェーズだそうです。 ユーザー調査やユーザーモデリングを行います。
3.ユーザー要求事項の明確化
ここでは利用状況を体系的に記述し、満たすべき要件を定義することが重要となります。
引用元:HCDのヒント 利用状況の把握と明示のフェーズで得た情報をもとに、ユーザーが求めていることを明確にします。 主なアウトプットとしては”理想シナリオ”を作成します。
4.要求事項を満足させる設計解決案の作成
定義された要件に基づき最適な解決策を生みだす活動です。
引用元:HCDのヒント
”理想シナリオ”など、前のフェーズのアウトプットをもとに、プロトタイプを作ったりします。 手を動かす系の「デザイン」業務はここに含まれますね。
5.要求事項に対する設計の評価
生み出された成果物のできばえを評価し、当初定義した利用者の要求を満たしているかを確認します。ここで、満たしていれば「要求事項へ適合している」こととなり、生産に移すことができます。満たしていなければ、その程度に応じて、要求事項の見直しや、解決策の練り直しを行うことになります。
設計解決案をユーザーに対してテストします。 ユーザービリティテストなどによるUX評価がここでのアウトプットです。
引用元:HCDのヒント
6.量産・運用
2~5のフェーズが全部クリアになったら、そのプロダクトは世の中に受け入れられプロダクトになったということです。 やっと、量産や運用のフェーズに入ります。 ゼロイチでプロダクトを作っている場合、ここで作った製品を世に出して、獲得周りのマーケティングも最適化されて来てやっとPMFというところでしょうか。
North star metrics を決めよう
North Star Metricsについて解説したスライドをつくりました。